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アプリと商標~急成長業種のブランド名をめぐるお話~

ここ数年、コロナへの感染予防のため、テレワークを導入する企業の増加とともに、仕事のありかたの変化を感じている方も多いのではないかと思います。通勤時間の短縮やウェブ会議による移動時間の短縮など生産的な時間が生まれたことが大きいといえます。さて、今回の本題は、そんな生産的な時間の捻出に貢献したウェブ会議システムアプリ「ZOOM」に絡めた商標のお話です。

そもそもアプリは商標登録できる?

アプリケーションはよく考えてみると商品名ではなく、サービス名です。実体として存在しないものに商標権は与えられるのでしょうか?結論から言うと、商標登録できます。
商標権は、「モノ」だけでなく「サービス」も保護の対象としています。

例えば、ビデオ会議システム「Zoom」を展開する米 Zoom Video Communications (以下ZVC)は、下記の登録商標を持っています。 ※商標登録、指定の区分ごとに出願登録され、以下は42類という区分で登録されています。

 登録番号:第6417625号

<42類>コンピュータハードウェアの設計及び開発に関する助言,電子計算機・自動車その他その用途に応じて的確な操作をするためには高度の専門的な知識・技術又は経験を必要とする機械の性能・操作方法等に関する紹介及び説明,電子計算機の貸与,電子計算機用プログラムの提供,クラウドコンピューティング,コンピュータソフトウェアの貸与

ZOOMほど有名になればもはやこのサービス分野ではネーミングにおいて覇権を持っています。後から似たようなサービス名を商標登録しようと思ってもなかなか困難です。例えば、株式会社zoom(東京·新宿区)が、商標出願をしましたが、特許庁より以下のような拒絶理由が示されています。

この商標登録出願に係る商標(以下「本願商標」といいます。)は、別掲のとおりの構成からなるところ、この構成中の「ZOOM」の語は、Zoom Video Communications, Inc.が、役務「通信」等について使用する商標として、本願商標の出願前から広く知られているものです(下記(1)~(4)参照)。そうしますと、本願商標をその指定役務に使用するときは、その役務が、あたかも前記会社の業務に係る役務であるかのように、あるいは同会社と組織的・経済的に何らかの関係がある者の業務に係る役務であるかのように、その役務の出所について混同を生ずるおそれがあります。したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第15号に該当します。

つまりZOOMとなにかしら関係があるかのように、消費者が誤認してしまう可能性があるので、登録できません、ということです。このように同じようなネーミングでのサービスの後追いや商標出願をすることが極めて困難になり、後続に対して強い牽制力が働きます。これによって実質的な独占が可能となるわけです。

ZOOM 登録商標をめぐる訴訟発生

しかし、敵なしかと思われたZOOMの商標について、訴訟が起こりました。(2021年9月)

1983年の創業音楽用電子機器を製造・販売する株)ズーム(東京都千代田区)は9月17日、米 Zoom Video Communications (ZVC) のビデオ会議システム「Zoom」が同社の商標権を侵害しているとして、Zoom を日本で提供する NEC ネッツエスアイに対する東京地方裁判所での訴訟提起を発表しました。IT media news 

2019年10月ごろから電話・メール窓口にWeb会議システムについての問い合わせが殺到するようになったり、 ZVC の決算発表の影響で株価が大幅に変動して株主に損害が出ました。「ズーム」とネット検索してみても、上位に検索されるのはZVCやその関連サイトばかりです。商標の類似で、ビジネスに多大な影響をもたらしてしまうようなトラブルが発生してしまうのです。

株式会社ズームの登録商標 第4940899号
           ZVCの出願中の商標 商願2020-061572
両社とも<9類>写真機械器具,映画機械器具,光学機械器具,電気通信機械器具,携帯情報端末,コンピュータソフトウェア用アプリケーション(電気通信回線を通じてダウンロードにより販売されるもの),電子計算機用プログラム,電子応用機械器具及びその部品

ZVCは、42類の「電気計算機用プログラムの提供」というサービス(役務の)商標は登録できましたが、9類「電気計算機用プログラム」は、すでに株)ズーム社が取得していました。
現在、ZVCの出願中の商標は、株)ズームの登録商標に類似しているとされ、拒絶されており、それに対して、 ZVCは意見書を出し、反論しています。(2021年10月時点)株式会社ズームの訴訟の目的は、損害賠償を請求するのではなく、「登録商標が法的に保護されるべき知的財産であることの確認」とのことです。
アップル社が、「アイフォーン」の商標について、インターホンのアイホン株式会社(愛知県名古屋市)に使用許諾のライセンス料を支払っているという例もありますので、訴訟の結果が気になりますね。

ブランド名と会社名は事前調査が必須!

このような商標トラブルをさけるためにも、ブランド名や会社名をつける前から事前調査が重要であるということです。

また、権利を取得せずに使い続けている場合にも注意が必要です。商標登録には、先願主義という考え方があります。

 先願主義
たとえば、Aが先に使用している商標であっても、あとから、Bが商標出願、登録されれば、
その商標を使用する独占権利がBに認められ、Aはその商標を使用できなくなる可能性があります。

ずっと使い続けてきた自社の商品やサービス名を、商標登録していないと、他社が出願してしまい、急に使用できなくなる可能性があります。

このように、急にどんなビジネストラブルが発生するかわからない時代です。知的財産権とは、あなたの会社を守り、強くする権利なのです。安心してビジネスを大きくしていくためには、会社名やブランド名商標権を取得することは大変重要なことです。こちらもご覧ください。→『商標権の効力を考える』 

弊所では、商標に関して、出願はもちろんのこと、ネーミングのつけ方からトラブルへの対応まで数千件のケースを対応してきました。どんなことでもお気軽にご相談ください。こちらまで→

※引用:特許情報プラットフォーム

 

 

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