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知財 Study

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知財 Study〈blog〉

模倣を防ぐ、キャラクター保護を考える

Contents

キャラクタービジネスと市場規模

キャラクタービジネスとは、
“自身で作成創作したキャラクターによって、収益を上げること“
です。

キャラクタービジネスでは、キャラクターを利用して商品にする「商品化権」
キャラクターを使用して、アニメやゲームなどにする「版権」
の二つがあります。

矢野経済研究所による調査では、キャラクタービジネスの国内市場規模は約2兆5000億円となっています。国内での市場規模はここ数年横ばいですが、世界では新興国を中心に拡大しており、今後も成長が期待されています。

特にゲームやアニメで有名な「ポケモン」はこれまで約10兆円の収益を上げていると言われています。その収益額はミッキーマウスやスターウォーズを超え、世界一売上を上げているキャラクターと言えます。

(参考記事:https://finders.me/articles.php?id=1492)

著作権について

小説、音楽、美術、アニメなどの作品は、それを作った人がそれぞれ自分の考えや気持ちを作品として表現したものであり、この表現されたものを「著作物」、著作物を創作した人を「著作者」、法律によって著作者に与えられる権利を「著作権」と呼んでいます。

 日本では、著作権は作品を創作した時点で発生します。特に出願や登録は必要ありません。
そのため「権利者は誰なのか権利が発生したのはいつなのか」ということを、権利者自らがすべて証明しなければなりません。
ただし、著作権を移転する場合は登録することが可能です。
なお、著作権の扱いは国によっても異なり、海外でも展開したい場合はその国に合った著作権への対応をする必要があります。(アメリカや中国ではキャラクターの著作権登録が可能です。

キャラクターの保護を考える

キャラクター自体には著作権が発生しますが、キャラクターの名前には権利が発生しません。

著作権のみでキャラクターを保護するのは非常に難しく、模倣される事例も多く存在します。

 

そこで、著作権と同時に
商標権と意匠権とを組み合わせて使う「ハイブリット保護」という方法
を戦略として提案させていただきます。
※商標権は商品につけられた目印となる商標(名前・ネーミング・キャラクターの絵柄やイラスト)を守るものであり、意匠権は商品のデザインを守るものです。

 

何故ならこれらの商標権や意匠権は、独占的権利であり、「誰が権利者か」ということが明確である法律であるからです。

証明する場合には、その権利範囲に入っているかいないかだけの話になるので、非常に効果的です(模倣者がそれを見て描いたのかそうでないのかを証明する必要がありません)。

しかし、先に出願登録した者に権利が与えられます。「先に自分が創作したのに!」と言っても、権利化しなくては独占的に使用できません。また、他者が先に権利化されてしまうと、もう使用できなくなる可能性もあります。

なお、先ほども触れましたが、キャラクターの名前に著作権は発生しませんので、キャラクターの名前を保護するためには別途、商標登録が必要となります。
また、キャラクターの原画も商標登録しておくことによって、その原画使用のキャラクターの権利も主張しやすくなります。
商標には画像とネーミングなどの権利があり(図形商標と文字商標)ます。
複数のキャラクターを保護する場合、個々のキャラクターだけでなくシリーズやメンバー、グループ単位等でも対応する必要があります。
その際に投資対効果を考え、優先順位をつけておくと良いでしょう。

海外においても展開する場合は、商標権や意匠権は国ごとの対応となりますので注意しましょう。
平面に描かれた画像の商標登録だけでなく、そのイラストを物品などぬいぐるみやフィギュアにして展開する場合は、意匠権の保護も大事です。
また、著作権の「権利が発生したのは何時なのか」という証明については、タイムスタンプの活用がおすすめです。
キャラクターが権利保護されていることをWebサイト等に明記すると、模倣防止等にも繋がります。

キャラクターを保護する場合の商標権・意匠権の役目

商 標 権 意 匠 権
キャラクターのネーミング、絵柄、イラストの保護 キャラクターが物品になった場合のデザインの保護
キャラクターを使った商品の保護
・独占的に永続的に使用できる(更新)
・模倣防止
・SEO対策ができる
・ライセンスビジネスの可能性
・独占的に使用できる
・模倣防止
・永続的に使用できる
・比較的登録までにかかる時間が短い 約6~8か月
・保護期間が長い(25年)
・部分意匠などを活用すれば強い権利にすることができる・ライセンスビジネスの可能性

商標権+意匠権を組み合わせたハイブリット保護戦略によって
自社の強みとなるキャラクターを、模倣を心配せず安心してブランド構築ができる。
(模倣がないので)一定の品質を提供できるため、顧客や消費者から信頼される企業となる。
成長したブランドは、国内外のライセンスビジネスにより会社の成長が期待できる。

 

大人気、シンガポール発ティラミスヒーローは日本で商標名が使えない?

瓶入りのティラミスを販売し、若者を中心に熱狂的に支持されている「ティラミスヒーロー」という会社があります。
ティラミスヒーローはシンガポールを拠点とする会社です。
しかし、こちらの会社は日本国内において「ティラミスヒーロー」という商品名で販売することができません。
なぜならば、既に日本の会社にこの商標(「ティラミスヒーロー」という文字商標や、ロゴにキャラクターをあしらった商標など)を登録されていたからです。
そのため、「ティラミスヒーロー」は日本で販売する際には「ティラミススター」という別の商標に変えています。
一方で、この「ティラミスヒーロー」という商標を所持していた会社は「シンガポールの商品を真似した」というマイナスなイメージが広がってしまい、商品が売れなくなりました。
その結果、一部のお店を閉店せざるを得なくなったという状況に陥りました。
ティラミスヒーローの事例では、模倣した側が損をする結果となりました。
これは、他国に比べてモラルに厳しい日本特有のカルチャーが影響したのだと考えられます。
しかし、通常はこのような展開にはならず、模倣された側が泣き寝入りとなることがほとんどです。

他社に模倣されないためにも、早い段階で、商標登録や意匠登録することで、キャラクターやネーミングを活用したビジネスの展開が可能となります。
SNS等で情報が瞬時に伝わる時代には、自社の権利をいかに保護するのかが重要です。

まとめ

上記、踏まえて、キャラクター保護について以下まとめます。

◆著作権は作成と同時に発生するものだが、それを証明することが難しい上にそれだけで著作物を保護するのは不十分である
◆他者が先に権利化すると、使用できなくなる可能性がある
◆著作権のみならず、商標権や意匠権を組み合わせたハイブリット保護が効果的である
◆キャラクター名やキャラクターの原画も商標登録、ぬいぐるみなど物品の場合は意匠登録もするべきである
◆著作権の権利が発生したのは何時かという証明については、タイムスタンプを活用が効果的である

模倣に関しては模倣防止協会にご相談ください。

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